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「ごめんください」
現場となった書店は、襲撃から日も浅く、あちこちに本と瓦礫が散乱していた。
舞い散る埃とふるびた紙と黴の臭い、書店、というよりも古本屋だった。
奥の方からのっそりと、年配の書店員が出てきた。
「はい、はい」
「すいません。ちょっとお話をいいですか?」
「あぁ、悪いが後にしてくれないか!修繕作業で忙しいんだ!」
「ごめんなさい、少しだけでいいんです」
フランが申し訳なさそうに頭を下げながらお願いする。書店員は鬱陶しそうに深いため息をついて、睨みつけた。
「たく、どいつもこいつも、この間来た新聞社の奴らもそう言ってずっと居座っていやがった」
「あ、安心してください。僕達は記者ではありません。名探偵とその助手です」
「探偵?」
「この本屋がマスカに襲撃されたと聞きましてね、その黒幕を追っているところです」
「黒幕だと?マスカを作っているのはファントムだろ?」
マスカ騒動の黒幕はファントムである。これも公共の周知であった。当然だろう?と書店員はリュクレーヌ達の方に聞き返す。
「そう。ですが、ファントムは絶賛拘束中。ファントムの協力者を探しているのです」
「当時の話を教えてくれますか?」
ファントムは活動不能。目を覚ましたと言え、拘束中の身だ。
だからこそ、「協力者」を探して捕まえなければならない。二人の真剣な態度に、書店員は頷いた。
「いいぜ」
「ありがとうございます!」
「ただし、そのかわり……」
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