9.ハーベストムーン

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「ごめんください」 現場となった書店は、襲撃から日も浅く、あちこちに本と瓦礫が散乱していた。 舞い散る埃とふるびた紙と黴の臭い、書店、というよりも古本屋だった。 奥の方からのっそりと、年配の書店員が出てきた。 「はい、はい」 「すいません。ちょっとお話をいいですか?」 「あぁ、悪いが後にしてくれないか!修繕作業で忙しいんだ!」 「ごめんなさい、少しだけでいいんです」 フランが申し訳なさそうに頭を下げながらお願いする。書店員は鬱陶しそうに深いため息をついて、睨みつけた。 「たく、どいつもこいつも、この間来た新聞社の奴らもそう言ってずっと居座っていやがった」 「あ、安心してください。僕達は記者ではありません。名探偵とその助手です」 「探偵?」 「この本屋がマスカに襲撃されたと聞きましてね、その黒幕を追っているところです」 「黒幕だと?マスカを作っているのはファントムだろ?」 マスカ騒動の黒幕はファントムである。これも公共の周知であった。当然だろう?と書店員はリュクレーヌ達の方に聞き返す。 「そう。ですが、ファントムは絶賛拘束中。ファントムの協力者を探しているのです」 「当時の話を教えてくれますか?」 ファントムは活動不能。目を覚ましたと言え、拘束中の身だ。 だからこそ、「協力者」を探して捕まえなければならない。二人の真剣な態度に、書店員は頷いた。 「いいぜ」 「ありがとうございます!」 「ただし、そのかわり……」  
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