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ようやく、ひと段落着いた時にはフランの脚は棒のようになっていた。
一方、リュクレーヌは対照的にピンピンとしている。
ここからが本番だぞ、というように報酬の書店員への聞き込みを始める。
「それで、当時の様子をお聞かせください」
「あの日は……突然轟音が鳴って、目の前に化け物がいて……そしたら新聞記者が来たんだ」
「ふむ」
「新聞社はうちから近いからな、音がしてスクープだと駆けつけたんだろう」
「そしたら、近くに居たアマラ軍がやってきて、マスカを撃退したって訳だ」
「人的被害は無かったんですね」
「あぁ、誰も怪我一つしてねぇよ」
新聞社の取材班が駆けつけ、その後、偶然パトロールに出ていたアマラ軍が駆けつけた。
アマラ軍がマスカを退け、駆逐したおかげで、建物以外の被害は出なかった。
犠牲者はおろか、怪我人すらゼロだった。
「他に、同様の被害に遭った人はいないでしょうか?」
「そうだな、向こうの……玩具屋と酒屋でも同じようにマスカに襲われたみたいだが無事だったらしい。」
「アマラ軍がすぐに駆け付けたから?」
「そう言っていたな。何にせよ、犠牲が出なくてよかったよ。俺達はラッキーだったよ。偶然にも近くにアマラ軍が居たからな」
この古本屋と同様の事例が近所の玩具屋や酒屋でも起きている。
「そうでしたか……忙しい中ありがとうございました」
「あぁ、こっちこそ手伝ってくれてありがとうな」
互いに礼を言い合い、二人は三度、街のレンガ通りへと繰り出した。
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