9.ハーベストムーン

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今はまだ、街一つの話で済んでいる。だが、マスカの勢力がイギリス中に、はたまた世界中に広がったらその時は── 最悪の結末を辿らないために、ルーナ探偵事務所と名探偵リュクレーヌ・モントディルーナは存在する。 断言するように、真剣な表情でリュクレーヌは言った。 要求は「飯を作れ」なのだが。 「分かった。どうしようかな…今夜は。お昼は僕の食べたいものだったし……」 「サンドウィッチがいいな」 「分かった。すぐ作るよ」 フランはキッチンの方へ消えて行く。その背中に補完するようにリュクレーヌは声をかけた。 「あっ、外で食べられるようにしよう。ピクニックだ」 「ピクニック?」 「あぁ」 外に持ち出せる食事を所望する理由をフランは何となく察した。 リュクレーヌが外出したい理由。そんなものは一つしかないだろう。 「……もしかして、また何か調べるの?」 「その通り。さっ、準備するぞ!」 ソファから起き上がり、フランの夕食を待って、二人は黄昏時のピクニックへと向かうのであった。  
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