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殺戮兵器が潜んでいるとなれば、街は正常に機能しない。リュクレーヌ達が豪華客船の事件を担当している間に、街は不安に包まれていた。
「ただの都市伝説だったのに、公になったらやっぱりこうなるんだな」
「アドミラさんが、マスカの真相を秘密にしろって言ったのも分かる気がするよ」
「まっ、全部事実なんだけどな。この事実のせいでこの街は毎日お通夜みたいになっちまった」
喪に服すような日々が続く。以前の街に戻る事はもう無いのだろうか。
「なんとか、しなきゃいけないね」
「まぁな。けど、なかなかやっかいだぞ?雰囲気を変えるっていうのは」
「そりゃ、そうだけど……」
「こんな状況をどうにかしたいってのはあるけどな。まぁ……こんな状況を喜んでいる奴もいる」
「え?」
フランが聞き返した時だった。突如、付近で爆発音がする。
「危ない!」
時計台が破壊されて二人の元に倒れこむ。逃げなければ。
リュクレーヌは即座にフランを抱え、落ちてくる時計台を避け、地上へと降り立つ。
「大丈夫か!」
「うん、平気。ありがとう」
二人が屋根から降り、地面に足を付けると、どたどたと慌ただしく駆けつける足音がした。
「おい!本当にマスカだぞ!」
「ひゃっほう!今回のタレコミも正解だったな」
「何だ……?この人たち。」
駆けつけたのはカメラを持った若い男とメモ帳とペンを手に持っている中年の男。
若い男は、レンズを上空の方へと向け、シャッターを切る。
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