9.ハーベストムーン

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カメラの男は憤慨した。あぁ、これでもまだフランがアマラという事に気づいていないのか。 「生憎だが、うちの助手は優秀なんだよ。ナメてもらっちゃ困るな」 リュクレーヌは呆れながら、鼻で嗤った。 「それで、お前らどういうつもりだ?」 「え?僕らはただ取材に来ただけですよ?」 「ほら、この通り。新聞社の者です」 二人は懐から名刺を出す。 メモの男はエディ、カメラの男はジャニーという名前だった。いや、それよりもこの新聞社の名前には見覚えがある。 ネオン新聞社。これは── 「この新聞社って……」 「あぁ、メリーさんが居たところだな」 いつも自分たちが取っている新聞だ。リュクレーヌの知り合いであったメリーの元勤め先でもある。 彼はファントムへ取材をし、その後マスカへとなってしまったのだが。 気になる事はまだまだある。 「それで、タレコミがどうとか言っていたのは?」 「あぁ、それですか?マスカがここに出現するっていうタレコミがあるんですよ!」 「なんだと!?」 思わぬ情報だ。マスカの出現をリークしている人物が居る。 協力者を突き止めるには重要な手がかりだ。 「馬鹿っ!それは言うなって編集長に言われただろ?」 エディが口を滑らせたジャニーの頭を叩く。極秘情報だったのだろう。 だが、この機を逃すわけにはいかない。
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