9.ハーベストムーン

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「見ない顔だな……どちら様で?」 「名探偵だよ。アンタらが信仰するアマラ軍直属のな」 アマラ軍の名前を出しても、編集長は余裕綽々の態度だ。 「これはこれは、随分と横柄な探偵なことで」 「横柄なことしているのはどっちだろうな」 「我々はファントム討伐とアマラ軍の功績に関する記事を書くために、日夜命がけで取材をしているだけですが?」 「とか言って、お前ら結局アマラ軍を盾にして自分の気に入らない勢力を叩きたいだけだろ」 「へえ。だったら何だって言うんです?」 編集長は開き直るように、リュクレーヌを煽った。 「だいたい、記事の大元になったのはメリーさんの取材だろ。アンタがオカルトじみたって没にした。そのせいで彼はマスカになったんだ」 「あぁ、そんな奴もいたな。マスカになって人殺しになったウチの汚点だよ。警察が取り調べに来て大変だったね。まぁ取材ノートは残してくれていたから生贄かな」 メリーは新聞社にとって──編集長にとってはただの生贄だった。占い師を殺し、マスカへと変貌した彼に慈悲など無い。 それどころか、面倒事を起こした厄介者だという。 「このっ……人の命をなんだと!」 編集長の発言に、怒りを露わにしたのはフランだ。慌ててリュクレーヌはフランを制止する。
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