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「っ……!」
背後から現れたクレアが即座にフランを取り押さえる。
何が起きたのか理解できないアイラは腰を抜かし、その場にぺたんと座り込んだ。
「ああ……あ……」
「逃げてください。彼は私が連行します」
そう言って、クレアはフランを拘束し、軍内部へと連行した。
軍内部は入口こそ、多くの関係者がいてざわついていたが、歩き進めるうちに人は減り、遂には二人きりになってしまった。
地下室へと続く通路。ここは以前、リュクレーヌの面会の為に来たことがある。フランにも見覚えのある場所だ。
「上手くいくもんだね」
「そうね」
「アイラさんには悪いことしちゃったなぁ……」
「演技とは思えない気迫だったわ……もう、やりすぎよ」
「ごめん、ごめん。でもこれくらいやらなきゃバレちゃってたよ」
反省はしている。正直、何も知らないアイラを怖がらせてしまった事は申し訳ない。
だが、これも作戦の為だった。中途半端な事をしていれば、失敗に終わる上、ファントムや協力者を刺激しかねない。
「貴方、だんだんリュクレーヌに似てきたわね」
「えぇ!?それはなんか嫌だな……」
「ふふっ、さ、取り調べ室へ行くわよ」
クレアの唐突な指摘にフランは眉間に皺を寄せた。
──リュクレーヌに、似ている?どこが?
すぐにでも反論したいところではあったが、目的地である取調室へと到着したためそれは叶わなかった。
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