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アマラの仕事は、マスカと戦う事。しかし、マスカの存在は最近まで敵国の兵器とされていた。
そのため、民間人を巻き込まない為、街中での戦闘などはほぼ行わず、マスカはできるだけ人目が付かない場所で倒されていた。
アマラの存在は仕事とは裏腹に地味で、何の仕事をしているのかはっきりしない割に高給取りであるから世間から疎まれる事もしばしばあった。
「警察の方がよっぽどマシさ。事件が起きれば捜査をして、分かりやすく人を護っている。同じ命をも護っていてもあっちは英雄だ。なにせ、人前で人を救っているからな」
「それで……警察を」
「それならいっそ、こんな手でも使って一度くらい、拍手喝采を背に戦う英雄になってもいいじゃないか」
オクトは俯きながら涙声で叫ぶように言った後、ゆっくり顔を上げ、フランの方へと視線を移した。
「……なぁ、フランよ。俺は間違っていたか?」
「オクトさん……」
オクトの心情を考え、フランは胸が痛んだ。
命を張ってまで人間を護っているというのに、認知されないアマラの存在意義とは何だろうか。
「それでも……僕は人と、マスカの魂を救いたいんです……。誰に称えられなくても、分かってもらえなくても、救った命は自分が一番分かるものだと思うんです。僕達の仕事は、僕達が誇るべきものだったじゃないですか!」
「フラン……」
だが、その心の揺らぎが一瞬の隙を生む。
「終わりだ」
「っ!?」
オクトは銃をフランに突きつける。
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