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「フラン!!」
クレアの声でハッとする。まずい。
このまま引き金を引かれたら──
その前にオクトの銃口から避けなければならない。
フランは咄嗟に、銃口から逃げる様に躰の方向を変えた。
銃弾が放たれた時には、既に照準にあったのは石畳の床だった。
ズガンと、床に一発、弾丸が撃ち込まれた。
「今だ!」
今度はフランが叫ぶ。背後から近づいたクレアがオクトを取り押さえる。
「クソ!二対一はズルいぞ!」
床に這いつくばりながら、じたばたとのたうち回り往生際悪く叫ぶオクトに、無慈悲だと思いつつもフランは銃口を向けた。
もう、こうするしかない。多少手荒な真似だろうと、なりふり構っていられない。絶対にこの人を捕らえなければならない。
「罪を、認めますね?」
「それはどうかな?」
オクトの口角が怪し気に上がる。
「えっ?」
「誰か!!!助けてくれー!」
腹の底からSOSを求めた。一体何が起こっているんだ、フランは怪訝な顔でオクトの方を見る。
「何をっ!」
「これから駆けつけてくるはずのアマラに、お前達に襲われたと言えば、お前たちは警察行きだ。残念だったな」
「……」
「どうした、何か言ったらどうだ?ショックで声も出ないのか?」
「……残念でした」
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