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フランは、哀しそうに鞄から琥珀色のブローチを取り出した。昨日の晩、リュクレーヌから貰ったものだ。
「は?なんだ、それは」
「これは僕がリュクレーヌから渡されたブローチです」
「ブローチ?そんなものが何だって」
「これ、元々はマイク機能がついている、盗聴器なんです」
「盗聴……器?」
ただのブローチでは無かった。リュクレーヌが「見た目がこれじゃ嫌だな」と言ってゴキブリ型盗聴器を改造したものだった。
つまり、フランは盗聴器を今日ずっとつけたままアマラ軍に居た事になる。
「はい。これまでの会話は全て筒抜けです」
「まて!それは何処に!」
「貴方が散々妬んでいた警察ですよ」
「警察だと!?」
「正しくは、外で待機していた刑事さんたちです。あぁ、警察だけじゃないか。中にはリュクレーヌと、貴方が情報をリークしていたネオン新聞社の編集長もいますよ」
アマラ軍の屋外にはリュクレーヌ達がいた。彼らはこの作戦が始まった時──フランがクレアに連行されアマラ軍内部へと入った時から屋外で待機していた。盗聴器でフランの様子を伺い、有事の際は突入するつもりだった。そして今、その時が来たのだ。
オクトの元に駆けつけたのはアマラ軍ではなくラルファ刑事たち、警察だった。
「警察だ!」
「なっ……!」
警察官数人が加勢して、オクトを取り押さえたのはクレアだけではなくなった。
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