10.ハンターズムーン

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10.ハンターズムーン

秋空は青色ではなくなった。 「どうして、マスカがこんなに」 空色の上に、無数の機械が浮かぶ。遠目で見ても黒い粒のように見え、ざっと百体は居る。 いや、それ以上居るだろう。 「逃げるぞ!」 この量はどうにもならない。例えフランがマスケット銃を使おうとも、敗北は目に見えていた。 だとすれば、今は逃げるしかない。しかしフランは、「嘘だろう?」と聞き返す様に目を見開いた。 「そんな、戦わないと!」 「馬鹿!死にたいのか!この量はお前でも一人じゃ無理だ!」 圧倒的な戦力差を見せつけられているのはフランだって分かっているはずだ。 それなのに、どうして戦うなど言うのか、リュクレーヌは叱責した。 「っ……わ、分かった!」 本気で叱られてフランにもようやく現実が分かった。 二人は事務所の方へと駆け出した。 「戦争って、どういう事だよ!」 「そのままの意味だよ。ファントムとマスカが本気で人間を滅ぼそうとしている」 「どうしてそんな事がわかるんだよ!」 「このマスカの量だよ……あとは、アマラ軍を潰しにかかっている事だな」 「そんな……」 絶望的状況。生身の人間では絶対に太刀打ちできない大量の殺戮兵器が、襲いかかっている。 このまま、街は壊滅するかもしれない、思った時だった。
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