106人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、マスカの群れが完全に撤退し、再び街に静寂が訪れたのは日が暮れ、夜が更けた頃だった。
「やっと、収まったみたいだね」
「窓から様子を見たところは、マスカ達は人間を襲ってなかったな。デカい建物壊しただけだった」
幸い、民家などは無事で、大きな建造物などが破壊された程度だった。
次は、お前達人間がこうなる番だと言うように。正に、宣戦布告。
だが、二人にはそれよりも気になる新たな存在があった。
「あのペストマスクの人形、いったい何だったんだろ」
「俺にも分からないな。マスカを倒した位……しか」
マスカを撃退したペストマスクの人形の正体は謎に包まれていた。
「マスカを倒したって事はアマラなのか?」
「いや、どうだろう……アマラの制服を着ていなかったし、武器を使ってなかった。生身でマスカを壊したんだよ?」
アマラは必ず武器を使ってマスカと戦う。フランのように軍に所属しないアマラもだ。
だが、人形たちは武器を持っていなかった。素手でマスカを倒していた。だとすれば、彼らはアマラではないのだろう。
「そうか……でも、アマラ以外にマスカを倒せる奴が居るか?」
「うーん……確かに」
しかし、マスカを倒せるのはアマラだけであった。それ故に、マスカの存在が公になった後のアマラ軍は褒め称えられ、奉られた。
尤も、その名声の為に、オクトは禁忌を犯してしまったのだが。
アマラ以外にマスカを倒せるもの。例外があるとするならば、マスカの所有者であるファントムくらいだろう。
しかし、人形は一体だけでなかった。何体も居た。皆ペストマスクを被り、マスカと戦っていた。
となれば、彼らの正体を掴むための情報はどうあがいても矛盾してしまう。
「キリがないし、続きはまた明日考えようぜ。今日はもう寝よう」
「うん。そうだね。じゃあおやすみ」
ひとまず、今夜の騒ぎは収まった。来る戦争に備えて二人は休息を取る。
最初のコメントを投稿しよう!