10.ハンターズムーン

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結局、マスカの群れが完全に撤退し、再び街に静寂が訪れたのは日が暮れ、夜が更けた頃だった。 「やっと、収まったみたいだね」 「窓から様子を見たところは、マスカ達は人間を襲ってなかったな。デカい建物壊しただけだった」 幸い、民家などは無事で、大きな建造物などが破壊された程度だった。 次は、お前達人間がこうなる番だと言うように。正に、宣戦布告。 だが、二人にはそれよりも気になる新たな存在があった。 「あのペストマスクの人形、いったい何だったんだろ」 「俺にも分からないな。マスカを倒した位……しか」 マスカを撃退したペストマスクの人形の正体は謎に包まれていた。 「マスカを倒したって事はアマラなのか?」 「いや、どうだろう……アマラの制服を着ていなかったし、武器を使ってなかった。生身でマスカを壊したんだよ?」 アマラは必ず武器を使ってマスカと戦う。フランのように軍に所属しないアマラもだ。 だが、人形たちは武器を持っていなかった。素手でマスカを倒していた。だとすれば、彼らはアマラではないのだろう。 「そうか……でも、アマラ以外にマスカを倒せる奴が居るか?」 「うーん……確かに」 しかし、マスカを倒せるのはアマラだけであった。それ故に、マスカの存在が公になった後のアマラ軍は褒め称えられ、奉られた。 尤も、その名声の為に、オクトは禁忌を犯してしまったのだが。 アマラ以外にマスカを倒せるもの。例外があるとするならば、マスカの所有者であるファントムくらいだろう。 しかし、人形は一体だけでなかった。何体も居た。皆ペストマスクを被り、マスカと戦っていた。 となれば、彼らの正体を掴むための情報はどうあがいても矛盾してしまう。 「キリがないし、続きはまた明日考えようぜ。今日はもう寝よう」 「うん。そうだね。じゃあおやすみ」 ひとまず、今夜の騒ぎは収まった。来る戦争に備えて二人は休息を取る。
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