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休息は長くは続かない。あっという間に朝は迎えに来る。
朝日はとっくに昇っていて、それでも──まだもう少し、とフランはベッドから起き上がられないでいた。
そんなもどかしいフランの部屋に、ドタバタと大きな足音でリュクレーヌが入室した。
「おい、フラン起きろ。分かったぞ」
「ん……何?」
「何?って昨日の人形の正体だよ」
昨日の、人形。分からないままで眠りに就いていたはずなのに、一夜のうちにあっさりと正体が分かってしまった。
一体どういう事だとフランはベッドから身体を起こす。
「人形……って、本当に!?」
「あぁ、これ見ろ」
そう言って、リュクレーヌは新聞を手渡した。
受け取った新聞紙には、いくつかインクが滲んだ丸印がされてあった。
一面にでかでかと載っていたのは昨日のペストマスクを被った人形の姿。
『新戦力ゴーレム、お手柄』と見出しがある。
記事によると人形はゴーレムと呼ばれる対マスカ用の新しい戦力らしい。
「ゴーレムって言うんだ」
「みたいだな」
「でも、人間に味方してくれる存在なら心強いね」
「何を言ってんだ。この新聞、奴のところのだぞ。俺はもう信用できねぇな」
「あっ……」
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