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フランは思い出したようにハッとする。今手に取っているのはネオン新聞社のものだ。
あの編集長の書いた記事だ。利用できるものは利用できる限りとことん利用する。
この記事も、ゴーレムも安易に信用できない。
そう言えば、とフランは他の記事に目を向ける。今日もきっと、アマラ軍に対する批判が記事になっているのだろう。
「相変わらず、アマラ軍叩かれているね……」
「まぁ、あんなことがあったからな」
一ヶ月経ってもアマラ軍へのバッシングは続いていた。
記事にはオクトだけでなくアマラ軍への体制や整備の批難まで書かれていた。
オクトのしたことは決して許されることではない。
それでも、今までマスカと戦う唯一の希望と称えていたアマラ軍にまでここまでの掌返しを行うのかとフランは目を疑った。
変わって、ゴーレムと言う新たな希望が現れたからかもしれないが。
称賛と批難相反する記事を見比べながら「アマラと……ゴーレム、か」とフランは零す様に呟いた。
「ねぇ、やっぱりゴーレムの存在は危険なのかな」
「あの新聞社が推しているってだけで確証はないからな。今は分からない」
彼らが何という名前の存在か。今はそれしか分からなかった。
人間の味方であるかどうかまではまだ分からない。
「分からない……よね」
フランは、俯く。
相変わらず八方ふさがりのままか、と。
だが、リュクレーヌは前向きだった。
「だから、ここは専門家に聞こうぜ」
明るい声で言って、リュクレーヌは事務所の電話の方へと向かった。
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