10.ハンターズムーン

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「専門家?」と首を傾げていると、リュクレーヌの声が聞こえた。 「あぁ、もしもしブラーチ?」 どうやら、専門家の正体はブラーチのようだ。   リュクレーヌが事務所の方へと向って電話を取った直後、 ドンドンと強くドアがノックされる。リュクレーヌは電話中だ。フランが来客に対応するほかない。 「おい!居るか!探偵!」 ドア越しに聞こえる声は知っている声だ。 先日の事件にも手を貸してくれた刑事、ラルファだ。 何も警戒する事は無い、フランはドアを開けた。 目の前に飛び込んだのは、焦るような表情のラルファと額から血を流したクレアだ。 「どうしたんですか、ラルファさん?ってクレア!?」 「何だ?どうしたフラン」 電話が終わったのか、リュクレーヌも駆けつける。 怪我をしたクレアを見るなり、ぎょっと驚いた。 「大変だよ!クレアが怪我してる!すぐに手当しないと」 「大丈夫よ、これくらい」 「いや、跡になったりしたら大変だ。フラン、救急箱取ってこい」 大げさだ、とあしらう本人をよそに、リュクレーヌは命じる。 すぐにフランは生活スペースの方から救急箱を取ってきて、リュクレーヌに手渡した。 箱の中から、ガーゼと消毒液を取り出して、慣れない手つきでひとまず応急処置はした。 後に医者がくるから任せるのも手ではあるが、頭から血を流した少女を放っておくことは出来なかった。
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