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「専門家?」と首を傾げていると、リュクレーヌの声が聞こえた。
「あぁ、もしもしブラーチ?」
どうやら、専門家の正体はブラーチのようだ。
リュクレーヌが事務所の方へと向って電話を取った直後、
ドンドンと強くドアがノックされる。リュクレーヌは電話中だ。フランが来客に対応するほかない。
「おい!居るか!探偵!」
ドア越しに聞こえる声は知っている声だ。
先日の事件にも手を貸してくれた刑事、ラルファだ。
何も警戒する事は無い、フランはドアを開けた。
目の前に飛び込んだのは、焦るような表情のラルファと額から血を流したクレアだ。
「どうしたんですか、ラルファさん?ってクレア!?」
「何だ?どうしたフラン」
電話が終わったのか、リュクレーヌも駆けつける。
怪我をしたクレアを見るなり、ぎょっと驚いた。
「大変だよ!クレアが怪我してる!すぐに手当しないと」
「大丈夫よ、これくらい」
「いや、跡になったりしたら大変だ。フラン、救急箱取ってこい」
大げさだ、とあしらう本人をよそに、リュクレーヌは命じる。
すぐにフランは生活スペースの方から救急箱を取ってきて、リュクレーヌに手渡した。
箱の中から、ガーゼと消毒液を取り出して、慣れない手つきでひとまず応急処置はした。
後に医者がくるから任せるのも手ではあるが、頭から血を流した少女を放っておくことは出来なかった。
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