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「クレア、この怪我はマスカにやられたのか?」
「……違うわ」
「じゃあ誰が……」
「……」
クレアは怪我の原因について黙秘する。見かねたラルファがため息をついて、「実は」と事情を説明し始める。
「街の奴らに石を投げられていたから、とりあえずここに避難した、というわけだ」
「えっ!?なんで街の人が!」
「オクトさんが捕まったからよ……」
クレアが悔しさを噛みしめるように言った。
「でも、クレアは関係ないだろう!」
「ええ、関係ない。でもね、街の人たちもそんな事関係ないのよ……彼の裏切りからアマラという存在そのものを否定するの。自分と関係のない人物であれば大きな括りで見ることしかできないのよ」
寧ろ、フランと共に裏切り者のオクトを逮捕するきっかけを作ったのはクレアだ。それでも、彼女の所属がアマラ軍と言うだけで、同業に裏切り者が居る危険組織の同業者という目で見られる。
「ヒーローから一気にヒールになったのよ、私たちは」
「そんな……酷い」
やるせなかった。フランも、ラルファも。勿論リュクレーヌも随分と胸糞の悪い話だと顔を顰めた。
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