10.ハンターズムーン

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「呼ばれたから来たが、怪我人という事か?」 ブラーチがまず目についたのは、ガーゼを額に当てたクレアの姿だった。 医者という事もあり、手当の依頼かと思っても無理はない。 「それもあるんだけどな」 「大丈夫よ、ブラーチさん。リュクレーヌが手当てしてくれたから」 「ならいいが……」 まだ心配そうに、クレアを見つめながら、伏し目がちになる。 今回、ブラーチが呼ばれたのは医者としての依頼ではない。魔術師として、聞きたいことがある。 リュクレーヌは本題に入ることにした。新聞をローテーブルに置いてゴーレムに関する記事を指さし、ブラーチに見せる。 「早速だけど、この記事にあるゴーレムの正体、お前分かる?」 「あぁ、電話で言っていた件だな。ちょうどペストマスクの人形がうろついていたから、魔術を解析したんだが」 ゴーレムは街に居た。 リュクレーヌに事前に聞いていた特徴から、彼らが件の第三勢力という事かと、ブラーチは術を使い、彼らに魔術がかかっているかを解析した。 結果として、魔術は検出された。つまり、ゴーレムは人間でもなく、ただの人形でもないという事だ。 「おおっ!それはちょうどよかったな」 「だが……あまりいい結果ではないぞ」 「いい結果じゃない?どういうことですか?」 フランが聞き返す。都合の悪い結果なのだろうか。 ブラーチは一つ呼吸を置いて、結果を報告する。 「ゴーレムは、マスカだ」 ゴーレム、イコール、マスカ。ブラーチの提示した結果に誰もが怪訝な表情を浮かべた。
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