106人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
リュクレーヌ達は聞き込みに、一方、ブラーチはクレアを連れて病院へと帰った。
クレアを連れた理由は二つ。匿うためと、治療の為だ。
早速、病室の診療椅子に帽子を取ったクレアを座らせて、リュクレーヌが応急手当をしたという傷を診る。
ガーゼを一旦取り、傷の近くに触れると、クレアはくすぐったいのか、片目を閉じた。
「本当にただの応急処置だな……クレア、少し両目を閉じてもらえるか?」
「あっ、はい……」
クレアは言われたとおりに両目を閉じた。
ブラーチが何かを呟く。この辺りでは聞かない言語だ。もしかしたら、以前言っていた魔術かもしれない。
目を閉じ、少し考え事をしている間に、施術は終わった。
「もう、痛みは無いか?」
「えぇ、全く……傷も無くなっている?」
「いつも世話になっているからな。サービスだ。」
微かに残っていたはずの額の痛みは嘘のように無くなり、あったはずの傷をなぞっても元通り、怪我をする前の状態に戻っていた。
これも、魔術の力なのだろうか。額に傷が残らないようにブラーチなりに気を遣ったのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!