10.ハンターズムーン

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◆   リュクレーヌ達は聞き込みに、一方、ブラーチはクレアを連れて病院へと帰った。 クレアを連れた理由は二つ。匿うためと、治療の為だ。 早速、病室の診療椅子に帽子を取ったクレアを座らせて、リュクレーヌが応急手当をしたという傷を診る。 ガーゼを一旦取り、傷の近くに触れると、クレアはくすぐったいのか、片目を閉じた。 「本当にただの応急処置だな……クレア、少し両目を閉じてもらえるか?」 「あっ、はい……」 クレアは言われたとおりに両目を閉じた。 ブラーチが何かを呟く。この辺りでは聞かない言語だ。もしかしたら、以前言っていた魔術かもしれない。 目を閉じ、少し考え事をしている間に、施術は終わった。 「もう、痛みは無いか?」 「えぇ、全く……傷も無くなっている?」 「いつも世話になっているからな。サービスだ。」 微かに残っていたはずの額の痛みは嘘のように無くなり、あったはずの傷をなぞっても元通り、怪我をする前の状態に戻っていた。 これも、魔術の力なのだろうか。額に傷が残らないようにブラーチなりに気を遣ったのかもしれない。
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