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「私たちはこの街の標的にされて、どうやって戦えばいいのよ!何を護ればいいのよ!」
「辛いな……」
「うぅっ……」
クレアにはただ今は泣く事しか出来なかった。そして、ブラーチもまた、慰める事しか出来なかった。
「私も、同じような目に遭ったことがある……」
差し出したのは共感。ブラーチは自分も同じだという過去を示す。
クレアはまだ涙が収まらないうちに、顔を上げ、ブラーチの顔を見た。
紅の瞳は哀愁に満ちていた。
「ブラーチさんが?」
「幼い時に、生まれた村で迫害を受けたんだ」
「迫害……どうして?誰がそんなことを……」
見当がつかない。クレアは、涙を拭いながら訊く。
ブラーチは淡々と自分の過去を語り始めた。
「私は、ロシアの小さな村で生まれた。村のやつらは、私の髪と瞳の色を見るなり、気味悪がったんだ」
「こんなに綺麗なのに」
「田舎では、古い慣習で自分達と違うものに恐怖を抱くんだろう」
自分達と同じものしか受け入れられない排他的な文化はブラーチの生まれた村を支配していた。
紅の瞳に銀髪。縁起が悪いと言われ、生まれて間もないブラーチは村から排除されそうになっていた。
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