10.ハンターズムーン

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「私たちはこの街の標的にされて、どうやって戦えばいいのよ!何を護ればいいのよ!」 「辛いな……」 「うぅっ……」 クレアにはただ今は泣く事しか出来なかった。そして、ブラーチもまた、慰める事しか出来なかった。 「私も、同じような目に遭ったことがある……」 差し出したのは共感。ブラーチは自分も同じだという過去を示す。 クレアはまだ涙が収まらないうちに、顔を上げ、ブラーチの顔を見た。 紅の瞳は哀愁に満ちていた。 「ブラーチさんが?」 「幼い時に、生まれた村で迫害を受けたんだ」 「迫害……どうして?誰がそんなことを……」 見当がつかない。クレアは、涙を拭いながら訊く。 ブラーチは淡々と自分の過去を語り始めた。 「私は、ロシアの小さな村で生まれた。村のやつらは、私の髪と瞳の色を見るなり、気味悪がったんだ」 「こんなに綺麗なのに」 「田舎では、古い慣習で自分達と違うものに恐怖を抱くんだろう」 自分達と同じものしか受け入れられない排他的な文化はブラーチの生まれた村を支配していた。 紅の瞳に銀髪。縁起が悪いと言われ、生まれて間もないブラーチは村から排除されそうになっていた。
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