10.ハンターズムーン

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◆   いざ、聞きこみと言っても、フランはリュクレーヌの後を着けるだけだった。 「それで、何処に行くの?リュクレーヌ」 「決まってんだろ?あの胸糞悪い新聞社だよ」 行先はネオン新聞社。ゴーレムに関する記事を、いの一番で書いた張本人だ。 「あぁ、なるほどね。取材しているなら分かるはずだよね」 「そういう事……って、なんだ?アレ」 道中、教会の前に大勢の人が集まっていた。 「人だかりだ」 今まで教会に人混みができる事など無かった。ではこの人だかりは何だ? 好奇心に負けたのか、リュクレーヌは教会の方へと近づいた。 「テレーノ教ばんざーい!ばんざーい!」 「わっ、なんだ、なんだ?こいつら」 ある者は祈り、ある者は称え、ある者は涙を流していた。 ──テレーノ教?そんな宗教があったのか?一体何の? リュクレーヌの知っている限り、その様な宗教団体はつい最近までは無かった。 二人は、熱心に目を瞑りながら祈りをささげる男に近づいた。何か、独り言を言っている。 「ミーナ様……我々をマスカからお救いください……」 「!」 男の独り言に聞き耳を立てると、良く知る単語が耳に入った。 「マスカ」だ。 「リュクレーヌ!今、マスカって……!」 「おい、ミーナ様って誰だ!それは」 祈りをささげる男性にリュクレーヌは食いつくように、声をかける。すると男は案外すんなりと祈る事をやめて、リュクレーヌ達の方を向いた。
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