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新聞社から事務所に帰ってくると、フランは早速キッチンへと向かった。
日照時間が短くなり、日が沈むのが早い。もう外は夜の色に染まっていた。
フランは早速、牛乳と野菜を取り出した。その様子を背後からリュクレーヌが伺う。
「何作るんだ?」
「今日のメニューはかぼちゃのシチューだよ」
「おぉ、最近肌寒いしな。ちょうどいい」
「あとは、チーズバケットとデザートはミルクプリンね」
牛乳とチーズ、今夜のメニューに共通する事項をリュクレーヌが指摘する。
「乳製品多くないか?」
「だって、カルシウム必要でしょ。さっきのやり取りでストレスたまって……」
新聞社での一幕は相変わらずストレスフルなものだった。それもこれもあの編集長の人を食ったような態度のせいだろう。
あぁ言えば、こう言う。手など出そうものなら記事にするぞと脅す。世論の手綱を握っているのは我々であると言うように。
「あぁ、そういう事か」
「リュクレーヌだってムカつかない?僕普通に腹立ったんだけど」
「いや、腹は立つけどもう慣れてきたな。アイツはもう、あぁいうやつなんだって、割り切ることにした。いちいち苛ついていたら立てる腹が足りなくなる。それに、証拠が無いのは事実だしな」
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