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彼らと対峙するのは、今回で二度目。あの編集長の嫌味にも慣れてきた。慣れるべきではないのかもしれないが。
証拠が無いのであれば、疑う以上の事に進むことは出来ない。
「リュクレーヌ……」
「まぁ、何かしら悪事の証拠を掴んだら突き付けるけどな」
だからこそ、言い逃れのできない証拠があればその時は、徹底的に追い詰めると決めている。
「牛乳プリンは、やめておこうか」
「それは要る」
部屋には、カボチャがたっぷり入ったシチューとパンの甘い香りが充満する。
「いただきます」と食前の挨拶をすると、二人はスプーンを取り、滑らかな橙色のスープを口に運ぶ。
よく熟れたかぼちゃの、砂糖菓子とは違う自然な甘みがミルクと混ざり合い、口いっぱいに広がった。
シチューとパンを半分くらい食べたところでフランは今日の聞き込みの成果とも言える話を始めた。
「それにしてもあの宗教団体何だったんだろうね」
「さぁな。でもまさかゴーレムに関する情報が手に入るとは思わなかった」
信者の口から出てきたゴーレムというキーワード。まさに自分たちが今追っている存在を思わぬ場所で聞くことが出来た。
おかげで、霧の中でまともに見えなかったゴーレムという存在が一気に晴れた様。
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