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リュクレーヌの言いたかったのは心に与える栄養を亡くして身体だけ生きていても意味がないだろうという事だった。
フランは軽く頭を下げる。
「ここまで戒律が厳しくても信者は後を絶たないみたいだよ」
「信じられねぇな。我慢我慢我慢の生活を強いられるんだぞ?」
「それでも、ゴーレムに護ってもらいたいんだろうね」
「心を失ってまで命を守るってか……」
入信して、ただひたむきに戒律を守り、祈りを捧げれば、命はゴーレムによって守られる。
だが、リュクレーヌにとっては、その戒律がどうも命を人質に自身の人生における生きがいを奪うだけのものにしか見えなかった。
「たくっ、何のための戒律なんだか」
「これ……違反したらどうなるんだろうね?」
「それは、信者に直接聞きこみをするほかないな」
「でも、厳格な信者さんたちが教えてくれるかな?」
テレーノ教の信仰熱心な信者たちに聞き込みなどできるものだろうか。フランは不安だった。
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