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しかし、リュクレーヌには考えがあるようだ。指を左右に振りながら。ちっちと舌を鳴らした。
「厳格じゃない信者に聞けばいいんだよ。これだけ信者がいるんだ。信者の中にも一人や二人くらいテレーノ教自体を疑問視している奴が居てもおかしくないだろ」
どんな環境にも働きアリの法則は成り立っている。
ましてや母数の多い、テレーノ教の信者なら、尚更二割の熱心さを忘れた信者を探すのはきっと容易い。
聞きたいことは、内部を知りつつ、戒律に疑問を持っている信者に聞けばいい。
「そっか!確かにそうだね!」
「そうとなれば早速聞き込みだ!」
二人は再度、教会へと向かった。
教会の周りには相変わらず多くの人でひしめき合っていた。
教会のドアは開いているものの、当然全員入れるはずもなく、教会の外で祈りを捧げる者がほとんどだった。
「前よりも増えてない?」
「そりゃ、信者が増えたからな。でも、別に前の方まで行く必要はないぞ」
「え?どうして?」
「熱心じゃない信者は大抵後ろの方で祈りを捧げるふりをしているだけだからな」
「そんな、学校の授業の席順みたいな……」
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