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「私の息子がテレーノ教に入信したばかりに、失踪してしまったのです」
「失踪!?」
「それは、どうして……詳しく聞かせてくれませんか?」
思わぬ形で宗教団体の闇へと近づいた。女性は「えぇ」と頷くと話を始める。
「ある日の夜の礼拝で祈りをささげた後、彼は飲むべき薬を教会に忘れてきたのです。やむを得ず、教会へと取りに帰りました」
信者であった息子、プルーは薬を取りに帰るために、教会へと帰った。
「しかし、夜の礼拝後の外出は禁止。息子は帰ってきませんでした」
「なるほどな、戒律を破ったから失踪したと」
やはり、戒律違反は厳しく罰せられるのだろう。外出禁止の戒律を破ったプルーは失踪した。
それが、教会のせいであるという証拠こそないが、可能性としては考えられる。
「うぅっ……息子は、テレーノ教に殺されっ……うぐっ!?」
女性の胸を槍のようなものが差す。
いや、槍ではない。槍のように先端がとがった腕だ。
人間ではない?だとすれば──
女性が倒れると彼女を刺した犯人が二人の視界に映る。
人形の躰にペストマスク──ゴーレムだ。
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