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先の戦闘で二人の顔はとっくに割れている。
信者としての潜入は絶対に不可能。しかし、ゴーレムとしてならペストマスクで顔も隠すことが出来る。
「メイクかぁ……クレアに手伝ってもらおうか?」
「そうだな、でもこの状況じゃ……」
アマラ軍はゴーレムに襲われている。この状況下でクレアに頼み事などできるものかと思ったが。
「クレアはアマラ軍を辞めた」
「クレアが!?もしかして、この間の……」
石を投げられた件か?とフランは思った。
「いや、辞めたのは軍だけだ。アマラそのものは続ける……君のようにフリーのアマラになったのだ」
「どうして……」
「彼女は言っていたよ。守りたいものを誰かに邪魔されるくらいなら、所属や地位だけ捨てて自由に誰かを守りたい。とな」
守りたい物を守る。選ぶ権利が与えられないのなら。意思が尊重されないくらいなら自由になりたいとクレアはアマラ軍を辞めた。
「反対、しなかったんですか?」
「……あの子には随分と不自由な生活を強いていたからな。あの子が自分で選んだ道くらい、好きにさせてあげたかったんだ」
「アドミラさん……」
クレアがやっと守りたいものを見つけた。
アマラ軍としてよりも彼女の一人の人間としての意思を尊重する。それがアドミラに出来るせめてものの償いだった。
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