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翌朝の礼拝堂。相変わらず大勢の信者が詰めかけている。
好都合だ。これだけ多くの人間が居れば、ミーナやテレーノ教の暴露が大々的に出来る。
「おい、屋根の上に誰かいるぞ」
「あぁ、ゴーレムだろう。俺達を守ってくれてるんだ」
リュクレーヌとフランは礼拝堂の屋根の上に居た。遥か高い屋根の上に昇るのはマスカであるリュクレーヌさえいれば簡単な事だった。
前日使っていたペストマスクを二人が被っていれば、信者はゴーレムだと勘違いしてくれる。「単純な奴らだな」とリュクレーヌは呆れたように言った。
「よし、フラン。いいぞ」
「うん。それっ!」
リュクレーヌの合図でフランは礼拝堂の屋根の上から、大量のビラをばらまいた
上空から、一枚二枚……それどころでは無い何百枚もの紙が放たれた。
「ん、何だこれ?紙?」
その数が明らかに異常であると察した信者たちは興味本位で手に取る。
「おい、何だこれ?新聞みたいだぞ」
号外と書いてある見出しがあり、写真があり、本文がある。
たった一枚にまとめた、一面だ。
写真には昨日の逢瀬の様子。
「この写真は……礼拝堂か?映っているのはミーナ様?」
「おい、どういう事だ!とんでもない事が書いてあるぞ!」
本文には、ミーナとウェスペルの会話の内容。
「皆さーん!この宗教はインチキでーす!信じてはいけませーん!」
「信じると、マスカにされてしまいます!ゴーレムの正体はマスカなんです!」
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