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混乱する信者に対して発信するように、リュクレーヌとフランは叫ぶ。
教会の前の人だかりが、一気にざわつく。
「そんな……嘘だ!」
「信じられない……」
信者の中には狼狽え、事実を受け入れない者──
「ふざけるな!何を言ってるんだ」
「お前、頭おかしいんじゃないのか!」
怒り狂い、リュクレーヌ達を疑う者がほとんどだった。
「うーん、やっぱり簡単には信じてもらえないか」
リュクレーヌは諦めた様にペストマスクを脱ぎ捨てた。フランも同様にマスクを脱ぐ。
「どうする?リュクレーヌ」
それもそうだ。確実に決定的な証拠は写真しかない。それに写真だけではミーナとウェスペルが会っているという事しか分からない。
真面目なテレーノ教の信者たちは矛先をリュクレーヌ達に向ける。
「大丈夫、こんな事も有ろうかともう一つ証拠は持って……っ」
リュクレーヌの言葉を遮るように強い振動を伴い轟音がする。
屋根の上に誰かが来たようだ。視線を向けるとゴーレムに乗った白いワンピースの教祖──ミーナがいた。
背後にはウェスペルも居た。騒ぎを聞きつけて駆け付けたのだろう。きっとまたスクープを書かせるために。
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