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「何をしているのです!?神聖なる礼拝堂で!」
「神聖ねぇ……この宗教は真っ黒だというのに」
「こんな記事でっちあげです。愚かなマスカとアマラによるクーデターです!皆さん、信じてはいけません!」
ミーナは信者に説く。
──まずい、このままだと自分たちが嘘つきに仕立て上げられる。
こうなったら、決定的な音声を聞かせるしか手段は無い。
「これを聞いても同じことが言えるのかよ」
リュクレーヌは、昨日の彼女たちの会話を再生した。
突如再生される音声に、あれ程ざわついていた信者たちは一切口を閉ざした。
沈黙の中再生される音声。
そこには、ミーナとウェスペルの罪が自らの声で並べられる。
全てを再生し終わった後、もう言い逃れの出来ないミーナは青ざめた顔でリュクレーヌの方を睨みつけた。
だが、睨むだけだ。何も言い返せないのだから。
「ほら、ここは礼拝堂だ。懺悔する事があるだろう?後ろに隠れてる編集長さんを金で買収してアマラを叩く記事を書かせた事とか」
「ぐっ……」
「それとも、アマラ軍から手に入れた死体と戒律を違反した信者の死体を、お前の言う事聞く土人形にした事か」
「……」
「はたまた、自分の理想郷の為に他人の自由を奪った事か」
リュクレーヌが変わりに彼女の罪を並べる。
すると、信者のざわめきがどんどん大きくなっていた。
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