10.ハンターズムーン

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「それがアンタの言っていた理想郷か……」 「真面目に生きてきた者だけの世界にすれば、真面目な者は報われるのよ!正しくない者は排除。皆もそれを求めるでしょう!」 「ミーナさん……あなた、一体何があったんです?」 正しさへの異常な執着をみせるミーナにフランは懐疑な目で見つめた。 「私は……戒律を守って、真面目に神に尽くしてきたわ……それなのに、一緒にいた修道女達は皆、遊び呆けていた。その上、神を裏切り結婚した!神を裏切ったのに、家族に囲まれて幸せになっていた……おかしいでしょう!どうして、真面目に修行をしてきた私が幸せになれないの!!」 ミーナは元々クリスチャンだった。修道女として教会に入り、神に遣えるものとして修行の日々送っていた。彼女は熱心に修行に明け暮れていた。 しかし、彼女の周りはそうでは無かった。他の修道女はと言うと、やっているふりのものがいた。ミーナが注意をすると、鬱陶しそうにしながら渋々修行をした。人間関係などの環境もあってか教会ではその内、修行をやめる者、教会を出て行く者、結婚した者も居た。 神に遣えると言ったのに、こんな事は不貞行為も同然では無いかとミーナは憤った。
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