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「それともお前は、幸せに生きる事を悪だと思っているのか?ただの嫉妬じゃないのか」
「……るさい」
「お前が幸せになれないのは、正しさだけに囚われているからだ!どんなに正しくても、心を失った人形になっちゃ幸せなんか掴めっこないんだよ!!」
幸せとは常に正しさと直結するものではない。正しさだけ追い求めたところで残るものが幸せとは限らない。
正しくなくても幸せを掴む者だっている。そう言った人間の幸せを妬み、悪だと糾弾したところで自分が幸せになれるはずはない。
そもそも、正しさの定義も幸せの定義も人間の心が決めることだ。絶対的な正しさも絶対的な幸せもこの世には存在しない。
彼女の言う清く正しく真面目な人間は、彼女の主観でしか決まっていない正しさである。
「五月蠅い!黙れ!ゴーレム共!こいつらを殺せ!殺せ殺せ殺せ!皆殺してしまえ!」
逆鱗に触れてしまったようだ。ミーナはゴーレムにリュクレーヌ達の処刑を命じた。
フランが戦闘態勢に入る。
だが、背後に居たゴーレムたちは微動だにしない。
「どうしたの、ゴーレム。ほら、早くしなさいよ!」
フリーズしたゴーレムに対して再度ミーナは命令する。しかし、ゴーレムは止まったままだ。
おかしく思い、フランは銃を下ろした
「どうなって……?」
分からない。ゴーレムが主人であるはずのミーナの声に従わない。絶対服従であるはずなのに。
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