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──何か、嫌な予感がする。
リュクレーヌの脳裏にある可能性を並べる。
──あのゴーレムはマスカ。主人であるミーナの意思には絶対に逆らえないはず。もしかして主人が別にいる?だとすれば主人はやっぱり──
答えはすぐそこまで来たところで、ぞわりと、恐ろしいほどの寒気が背中に這った。
──この気配は!
リュクレーヌは危機を察して反射的に叫んだ。
「まずい!逃げろ!」
リュクレーヌの声に、フランも気づき、突如動き始めたゴーレムの拳を避けた。
拳は、逃げ遅れたミーナの頭部を吹き飛ばした。ゴーレムはそのまま、もう片方の腕を槍にして、腰を抜かしたウェスペルの腹を刺し、血肉をかき分け、腸を引きずり出した。
「お望み通り、教祖様」
ゴーレムの背後から、マントを纏った男が顔を出す。
「ファントム!」
「どうして……」
ファントムの姿を見た信者たちは大慌てで逃げ出そうとする。
「やぁ、久しぶりだね。長い事拘束されていて退屈だったよ」
「そうだ、お前はアマラ軍に拘束されていたはずだろ?」
「いやー。まぁ、事前にいろいろ準備しておいてよかったよ」
「なっ……どういう事だ」
「ボクが拘束される前の協力者も居たって事だよ。一人はあの船乗り。もう一人は今回の教祖様ってこと」
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