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ただでさえ、ゴーレムと言う名前のマスカを増やされてアマラ軍は壊滅状態。
狼狽えるリュクレーヌに対して、フランがずいっと前に出た。そして、ファントムの方を強く睨みつけた
「さっきから聞いていれば……正しいとか悪いとか……人の行動ってそんな簡単に白黒分ける事ができるの?」
「何?どうしたの。あぁ、キミかい?キミはそうだな」
「正しいとか、正しくないとか……誰にも決められない事だろ!僕らは皆、命がけで戦っている、生きているんだ!それを、結果論で正しいか悪いか仕分けて何が楽しいんだよ!」
フランはファントムの言葉を遮って怒りをぶつけた。
「それなら、今の自分の心のままに……最後は自分の心を信じることしか出来なくなるに決まっているだろ!」
「でも、キミは自分を信じた結果が、あの都市伝説なんだよね」
「え?」
「よかったね。大人が馬鹿でキミに聞き耳を持たないままでいてくれて。ボクの存在がもっと早く知られてたら、もっと早くこんな状況になっていた。そうなれば人類は滅亡していたかもね。……それに、ボクはキミが僕に対してどう思っているかも知っているんだ」
「……?」
心当たりがない事を言われてフランの表情はみるみるうちに曇っていく。
「あぁ、スッキリした。うん。たくさん収穫もあったし、僕は帰るとするよ」
「あっ、待て!」
隙を見たファントムは上空の雲の中へと溶ける様に、去っていった。
──僕が、ファントムをどう思っているか?
分からない事を言われたまま、フランはその場に暫く立ち尽くした。
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