11.ビーバームーン

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11.ビーバームーン

硝煙と血と砂埃の臭いがこびりつくようだ。 日に日に増す、マスカの勢力によりロンドンは壊滅状態だった。約一年前の姿など見る影もなかった。 ──あの日見た地獄と同じだ。 テレーノ教襲撃以降、正体を明かしたゴーレム──マスカはより一層勢力を増していた。 あの時、ファントムとマスカによって犠牲になった信者たちは千人近くいた。 それだけでは済まない。その後も人間の皮を手に入れたマスカ達は数を増やし続けていた。 十一月末の今でも襲撃は容赦なく行われる。 正に、戦争だった。 「フラン、上だ!」 「うん!」 リュクレーヌが指示を出す。民家の屋根の上にマスカが居る。 フランは照準を合わせて銃の引き金を引き、マスカを撃破した。 「やった!」 だが、マスカは置き土産と言わんばかりに、屋根を破壊する。 そのまま屋根だったはずの瓦礫は少し離れた別の建物めがけて投げられた。
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