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リュクレーヌが、顔を上げて「誰だ?」と確認する前に、フランが来客者の正体を明かす。
「アドミラさんとラルファさん?」
リュクレーヌが顔を上げた先には刑事と司令が居た。
いつの間に、と思いながら眉をしかめる。
「入る時はノックしてくださいよ」
「緊急事態だ。仕方ないだろ」
だがアドミラは謝ることなく、ラルファと共にソファに座った。
「あの、緊急事態って……この、襲撃の事ですか?」
「それもあるが、な。また別件だ。俺達警察は総力を挙げてファントムの行方を捜している。だが、全くもって見つからない」
「心当たりなら俺達にも無いですよ。な、フラン」
フランは「うん」と同調して首を縦に振った。
「あぁ。それにファントムを見つけたところで戦える勢力はもう……」
壊滅しかけのアマラ軍にファントムを封印する余力など無いだろう。
目の前のマスカを倒すので精一杯だ。それでも、多くの犠牲を払っている。
だとしたら、ファントムに遭遇した時に戦うなど不可能。対抗手段はただ一つ。
「封印するしかないって事か」
「そう言えばブラーチさんがファントム封印の方法を探してくれていたはずだったけど、それはどうなったの?」
「あぁ、なんとか手はあったみたいだ。封印する魔術はいくつかある」
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