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普段、他人の言葉を遮ることなど無いのに、ラルファが言い終わる前にフランは反論する。
大勢の命を救う為、いくら人間とは言えマスカであるリュクレーヌの犠牲は仕方ない。と切り捨てるような言い方にフランは更にヒートアップしていた。
リュクレーヌが宥める様に寄り添った。
「フラン」
「リュクレーヌ!いいの?この依頼受けると死んじゃうんだよ!」
「少し落ち着けよ」
「落ち着けるわけない!もう二度とチェスも読書も僕の料理食べる事もできな──」
「フラン!」
今度はリュクレーヌが怒鳴る。まるで、強く叱責するように。
流石にフランもびくりと肩を震わせて、沈黙した。その様子を確認して、リュクレーヌは一つ微笑んで見せた。
「いつも言っているだろ?大丈夫だ。俺は死なない」
「そんな、気休め……」
「気休めなんかじゃない。アドミラさんよ。ファントムの魂を消すことで動きを停止するマスカは乖離済みのマスカだけなんじゃないのか?」
「え?」
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