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「あぁ。恐らくな。マスカはファントムの意思の下動いている。ただ、それは乖離済みのマスカだけだ。乖離前のマスカは自我がある」
「やっぱりな」
今度は安心したように笑う。アドミラも分かっているようだ。
ラルファは「ん?」と状況を理解しようと首を大きく傾げた。だが、分からない。
諦めてリュクレーヌに説明を求める。
「どういう事だ?探偵」
「乖離前のマスカは自我がある。停止するのは自我が無い乖離済みのマスカだけ。勿論、今自我があるマスカは乖離次第自我と主を失い停止するって事だ。今度こそファントムを消せば一ヶ月で平穏が訪れるよ」
ファントムを消すことによって意思を失い、動きを停止するのは乖離するマスカが対象である。
乖離前のマスカについては一ヶ月で乖離をし、乖離した瞬間停止する。ファントムを消し、一ヶ月経てば、全ては終わるのだ。
「そして、自分自身に憑依して乖離しない俺は死なない。大丈夫だよ。フラン」
とどのつまり、リュクレーヌは意思を持ったまま今までと同じように生き続けるという。
しかし、嬉しい情報にも関わらず、フランは俯いたままだった。
「……う」
「フラン?」
「そういう大事な事は先に言ってよ!」
「分かった、分かった。悪かったよ」
確証はある。乖離さえしなければ大丈夫。
隠していたわけでは無いが、怒るフランを宥めながら、何とか依頼を受けることにした。
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