11.ビーバームーン

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「あぁ。恐らくな。マスカはファントムの意思の下動いている。ただ、それは乖離済みのマスカだけだ。乖離前のマスカは自我がある」 「やっぱりな」 今度は安心したように笑う。アドミラも分かっているようだ。 ラルファは「ん?」と状況を理解しようと首を大きく傾げた。だが、分からない。 諦めてリュクレーヌに説明を求める。 「どういう事だ?探偵」 「乖離前のマスカは自我がある。停止するのは自我が無い乖離済みのマスカだけ。勿論、今自我があるマスカは乖離次第自我と主を失い停止するって事だ。今度こそファントムを消せば一ヶ月で平穏が訪れるよ」 ファントムを消すことによって意思を失い、動きを停止するのは乖離するマスカが対象である。 乖離前のマスカについては一ヶ月で乖離をし、乖離した瞬間停止する。ファントムを消し、一ヶ月経てば、全ては終わるのだ。 「そして、自分自身に憑依して乖離しない俺は死なない。大丈夫だよ。フラン」 とどのつまり、リュクレーヌは意思を持ったまま今までと同じように生き続けるという。 しかし、嬉しい情報にも関わらず、フランは俯いたままだった。 「……う」 「フラン?」 「そういう大事な事は先に言ってよ!」 「分かった、分かった。悪かったよ」 確証はある。乖離さえしなければ大丈夫。 隠していたわけでは無いが、怒るフランを宥めながら、何とか依頼を受けることにした。
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