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最後の依頼は随分と大仕事なものだと思っていた。
それ故に、依頼を受けた本日のディナーは随分と豪華なものだった。
パンとココアとゆで卵のシーザーサラダ。ここまではいつもよく出てくる定番の献立だ。
フランが一番大きな皿に輪切りにした肉らしきものを盛り付けていく。これが今まで見た事ない食材だった。
「何これ?」
「牛のタンと羊のタン。高級食材なんだってさ」
キッチンに置いてあった空缶には確かにそう書いてあった。
高級食材と聞いてリュクレーヌは喜ぶ半面、何故?と疑問を持った。
「そんなものどうしたんだよ」
「アドミラさんに貰ったんだよ。日頃のお礼だってさ」
「へぇ。後でお礼言っておこう」
盛り付けが終わり、フランはもらい物のタンを載せた皿を食卓へと運ぶ。
リュクレーヌとフラン、それぞれに大皿は置かれた。
だが、リュクレーヌは乗せられた肉を眺めながら、顔を歪めた。
「って、おい!俺の一個ずつ少なくないか?」
皿に乗ったタンの数が牛のものと羊のものそれぞれ一つずつ数が違う。
リュクレーヌに配られた方の皿に乗っているものの方が少なかった。
「え?そう?そんな事ないと思うけど?」
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