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明らかにそうであるはずなのに、フランはとぼけた。
おかしな態度に、リュクレーヌはようやく思惑を理解する。
きっとこれは、先ほどの件で、自分が死なないという情報の詳細をすぐ言わなかった報復だ、と。
「大人気ないぞ!」
「リュクレーヌにだけは言われたくない!」
やはり、まだ怒っているようだ。リュクレーヌはため息をつく。
「……本当に悪かったよ。別に意地悪しようとしたわけじゃないんだ」
勿論、わざと隠していたわけではない。告げる前にフランに遮られただけだ。
先に言っておけばよかったと後悔もしているが。
リュクレーヌが謝ると、フランは無言でタンを一枚分彼の皿に移す。
「許して、くれるのか?」
「うん……でもね、例え世界が平和になってもリュクレーヌが犠牲になるのは、やっぱり嫌だなぁって思った」
「フラン……」
度重なる戦闘と救えなかった命にフランもピリピリとしていたのだろう。
その中で一年近く傍にいたリュクレーヌを失うかもしれないという依頼をされたなら、取り乱すのも無理もない。
きちんと気持ちを伝えたうえで無事仲直りが出来たところで、フランは「それでさ、」と言い、話題を切り替えた
「ファントムの魂を消す方法なんてあるの?」
「アドミラさんもブラーチも無いって言っていたが……鍵を握る人物キーマンなら居そうだ」
「キーマン?」
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