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外観こそ廃墟のようなおどろおどろしいものだったが、内部は比較的綺麗に保たれているようだった。
フランは初めて立ち寄る豪邸に目を丸くする。
とにかく、天井が高い。
長い廊下には赤い絨毯が敷き詰められて、壁には中世の骨とう品や鎧、絵画などが飾られている。
まるで美術館だ。と思えば、シャンデリアが飾られた大広間のような場所に出ると、舞台装置のように二手に分かれた大階段が、主張するようにかかっている。
フランは異国の城に来たかのような気分に陥った。思わず、口から独り言が零れる。
「こんなに広いお家があるなんて……」
「え?普通だろ?」
「普通じゃないよ!やっぱりリュクレーヌってお坊ちゃんだったんだ……」
「まぁな」
リュクレーヌの父親が資産家という事もあり、裕福な生活をしているのは知っていた。
それでも、田舎で農家の末っ子として生まれ、小さな家で家族五人寄り添うように生活していたフランからすれば、驚きの連続だった。
「結局、十五で牢屋にぶち込まれたけどな」
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