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だが、リュクレーヌはここに調査の為に来ている。全ての始まりの事件現場に行かないわけにはいかないだろう。
リュクレーヌは拳を握り、それを反対側の手で包み、力を入れてゴキゴキと音を鳴らす。
「おらぁっ!」
叫び声と共に、固く厳重に施錠されたドアを蹴破る。ドアはずいぶんと老朽化していたようで、蝶番は折れ、ドアの木材は割れ、食堂への道は開けた。
腕を鳴らしていたというのに結局蹴りか、とフランがツッコミを入れようとしたが、それどころでは無くなった。
「!?」
「マジかよ……」
二人の目の前には想像を絶する光景が広がっていた。
高い天井に、広い部屋。小説やフィクションの世界にありがちな大金持ちの一家が燭台に蠟燭をともして食事を摂るワンシーンを彷彿させる部屋。
上品なシルク生地の赤いワンピースを纏った女性と、濃いグレーのスリーピーススーツを纏った男性が向かい合ってディナーを楽しんでいるようだ。
しかし、どう見てもおかしい。彼らは服こそ着ていたが、皮膚と肉を纏っておらず、白骨が剥き出しの状態で椅子に座っていた。
まるで、骸骨が食事を取っているようだ。偶の父の休みに家族四人で食卓を囲んでいた居場所は、変わり果てていた。
立ちすくむフランをよそにリュクレーヌは恐る恐る死体へと近づく。
探偵という職業柄死体など見慣れているはずなのに、今のリュクレーヌは呆然としながら、ふらふらと不安定な足取りで死体へと近づいていく。
死体の近くを軽く物色する。「間違いない……」と涙声で呟いた。
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