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「これ、俺の両親だ……このネックレスは母親の、こっちのカフスは父親の……あぁ、嘘だろ……くそ、どうして」
遺留品から判断するに、椅子に座っていたのはリュクレーヌの両親だった。どうして、こんな事になっているのだ。
自分がこの家を去った後、いったい何があったのか。リュクレーヌには全然分からなかった。
「そんな……」
殺されているかもしれないという覚悟は、ある程度していた。それでも、ここまでひどい姿の両親と再会する事になるとは思いもしなかった。
リュクレーヌは喪に服すように俯いたまま、呆然としていた。
フランはそれを見る事しか出来ない。家族を奪われる悲しみは自分にも痛いほどわかるのだから。
暫く経って、リュクレーヌはすっくと立ちあがる。「よし」と呟いて気合を入れる様に頬を両手で強く叩いた。
その音にフランはびくりと体を震わせる。
「ここにはもう、用は無い。ルーナエの部屋に行くぞ」
リュクレーヌから次の目的地への出発を告げられる。
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