11.ビーバームーン

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リュクレーヌは日付を確認した日記をフランに渡す。日記を受け取ると今度はフランがゆっくりと読書をするように日記を読もうとしていた。 だが、リュクレーヌはそんなフランを制止し、日記を閉ざす。 「読むのは後だ。とりあえず、これは持って帰るとしよう」 中身を確認するのは後で良い。今は手掛かりになりそうなものを全て収穫して、持ち帰る事が最優先であった。 フランは鞄に日記をしまいこんだ。ふと、視線を逸らせた先に鞄にしまった日記と同じような風貌の本が置いてある。 その本も手に取る。表紙を見ると、これにもまた日記と書かれている。きっとこれも持って帰るのだろうとリュクレーヌに渡すことにした。 「ねぇ、リュクレーヌ。もう一冊、日記があるよ」 「お、よく見つけたな。こっちは……事件の後だな。途切れ途切れだが、事件後から五年間分の日記が書いてある」 手渡された日記を受け取ると先ほどと同じようにパラパラとめくって日付だけを確認する。 こちらの日記帳には事件後の事が書いてある。ファントムに躰を乗っ取られた後のルーナエが残したものだ。 これもまた重要な手がかりだろう。
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