11.ビーバームーン

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「この本は、タイトルの通り、悪魔の臓器についての記述がされている」 「臓器?悪魔にもあるの?」 「あぁ、そうみたいだぞ。」 「じゃあ、ファントムにも?でも実態は無いんだよね、彼はただの魂なんじゃ……」 「魂でも臓器は有るんだろ。これによるとな」 本は立派なハードカバーの装丁だ。胡散臭いニセ科学のインチキ本では無いように見える。 ブラーチのように魔術を研究している者も居る。魔術に関する学術書があっても何もおかしくは無いだろう。 内容もリュクレーヌが頷き、納得の上で読んでいるものだ。信憑性はありそうだ。 悪魔にも臓器は有る。この本はその臓器を綴ったものである。 この事実をイコールでつなぐと一つの可能性が、ぱあっと視界が開ける様に眩しく見えた。 フランは「あっ!」と声をあげる。 「ちょっと待って!じゃあ、僕が夢で見たあの場所も悪魔の臓器だったって事?」 リュクレーヌも目を見開く。この本にはフランが夢に見た場所のスケッチがあった。 だとすれば、フランがルーナエとあった場所は、悪魔の贓物のどこかであるのではないか。 「そのページは、確か真ん中あたりだったよな……あった!」 リュクレーヌは骸骨が散乱する暗闇の崖が描かれた挿絵を見つけると、指を指す。 一度見たら忘れない風景にフランも頷いた。
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