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「そう!これ!えーと……」
挿絵の下に書いてある、脚注を読む。
一体ここは何処なのか。
「悪魔の、胃?」
胃だった。悪魔の胃袋は、骸が散乱した暗闇の崖だった。
フランがルーナエと出逢ったのも悪魔の胃の中だったという訳だ。
──どうしてそんな所に?
生死を彷徨った際に、呼ばれるのは悪魔の胃なのであろうか。
そもそも、何故、悪魔に胃が有るのだろうか。
「胃って、消化器官だよね。食べたご飯とかを溶かす……」
「そうだな。その胃だ。ん?食べ物?」
胃は、摂取した食物を胃酸で溶かし、消化しやすくする器官だ。
つまり、食べる者があるという事だ。だとすれば──
「アイツ、何食べているんだ?」
リュクレーヌが呟く。胃があるという事は、食べているものがあるという事だ。
では、何を食べているのか。悪魔の──ファントムの主食は何なのか?
「ちょっと、よく読んでみよう!」
フランが、該当ページの本文を指でなぞりながら読む。
悪魔の胃については以下のような記述があった。
悪魔は主に、人間の魂を食べます。
胃に残っている骸は、食べられた人間の魂の残骸です。
胃では、囚われた人間の生前好きだったものや思い出深いものを使い、おびき寄せます。
その方向へ行こうとしたが最期、人間の魂は閉じ込められ、地獄の業火に焼かれて魂は消滅します。
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