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記述を呼んで、二人は互いの顔を見合わせる。
これはとんでもない事が分かってしまったと、背筋を震わせた。
ファントムが人間を殺していた理由は、至って単純。食事を摂るためだった。
「ファントムの目的って……もしかして、人間の魂を食べる事?」
「あぁ、違いない」
人間が肉や魚やパンを食べるのと同じ事だった。
食物連鎖の頂点に立っていた人間が、さらに悪魔に食べられる。肉体ではなく魂を。
悪魔は魂そのもの。当然、食べるものも魂になるのだとすれば合点がいく。
「もしかして、ファントムの目的をルーナエさんが知って……マスカの製造を止めようとしたから僕を助けに来たって事?」
「だな、今まで人間の魂を集める為に作られた殺戮マシーンがマスカで、ルーナエはそれに気づいた。だから、体を乗っ取られた……」
ファントムの動機。ルーナエがファントムに狙われた理由。話が随分と進んだ。
やっぱりこの本は持って来て正解だったとリュクレーヌはご満悦になりながら本を閉じた。
ふと、そのままフランの方を見る。
「フラン……」
「何?」
「これ、寝る前に読むもんじゃなかったよな」
「確かに」
良い本だった。
しかし、不気味で残虐でかつリアルな挿絵で図解されたそれは、夜中の、これから灯りを消して、眠りに就こうという時間読む内容では無かったなと二人は少しだけ後悔した。
悪夢を見ませんように、と祈りながら眠りに就く羽目になったのだから。
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