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それから、宿を出て、馬車に乗り込み、事務所へと戻った。
早朝の外気も撫でるものから刺すものへと変わっていったことが分かるほど冷たくなっていた。十二月となっていた。
二人は十二月の二日の午前中に事務所へと到着し、調査を終了した。
帰って早々、リュクレーヌはソファに流れ込むように長くなる。フランは証拠品の入ったカバンをリュクレーヌ傍に、旅行鞄を生活スペースの方へと持っていく
「いやぁ、長い旅だった」
「お疲れ様」
フランが声をかける。リュクレーヌは証拠品の鞄に気づいて、早速中身を漁った。
寝転びながら、ルーナエの部屋にあったものたちを眺める。
「収穫は、日記と本。うん。まぁまぁなんじゃないか」
柔らかい笑顔で満足そうに頷いた。
フランは電話の方へと向かう。受話器を取り、ダイアルを回そうとしている手前だった。
「ブラーチさんにはもう連絡する?」
「そうだな、アイツも忙しいだろうし、早い事アポをとっておこう」
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