11.ビーバームーン

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ブラーチが帰り、事務所にはリュクレーヌとフランとルーナエの日記が残された状態となった。 リュクレーヌは両手を合わせ、口角をぐっと上げ、気合を入れる。 「さーて、俺達はこっちの日記の方を読んでいくぞ!」 日記帳の一冊目を意気揚々と手に取る。 「もう、大丈夫そうだね。リュクレーヌ」 「あぁ、ルーナエの動機がどんなものだろうと俺は向き合う」 ノスクルム邸でフランに言われた事を思い出す。 大丈夫、ルーナエは恨んでなんかいない。 例え恨まれていようとそれは過去の話。 ルーナエが自分をどう思っていようと、たった一人の弟を救うというリュクレーヌの目的は絶対に不変だ。 そう、思っているからこそ、リュクレーヌはもう躊躇わず、日記帳の表紙を開く。 まるで、ルーナエの心の扉を開ける様に。  
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