11.ビーバームーン

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  五月三日 母さんから、兄さんに勉強を教えるように言われた。 確かに、それは効率的だろう。 僕は兄さんの家庭教師となった。 いざ教えてみると兄さんは頭自体、特段悪くないという事が分かった。 ただ、強制されることが嫌いなんだ。 勉強しろと命令されるのをひどく嫌っていた。 だから、僕は「兄さん、一緒に勉強しようよ」と遊びに誘うように声をかけた。 ただ、その集中力も長くは続かない。 すぐに「友達と遊びに行く!」とか、「チェスしようぜ」とか言ってしまうんだ。 いったい、どうすればいいんだろう。   五月五日 いい方法を思いついた。 「この問題をね、チェスの駒だと思えばいいんだよ」 兄さんは「チェス?」と聞き返す。 何を言っているんだと言うように。 「うん、この問題はそうだね、少し難しいからビジョップだ。それで最後の一番難しい応用問題がキング。こいつを倒せば兄さんの勝ちだよ!」 僕は発破をかけるように兄さんに言う。 「ルーナエ、お前!天才か!?」 あぁ、良かった、兄さんが単純で。  
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