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六月二日
兄さんはあっという間に本を読み切った。
読みやすいとは言ったが、ページ数はそれなりにあるものなのに。
「いやー、読みだしたらハマってさぁ。今度は別のやつ貸してくれない?」
「うん、いいよ。この間のは面白かった?」
「もちろん!そうじゃなければこんなに早く読めないな」
「そっか。そうだな、アレが面白かったのなら、今度はこれなんてどう?仮想の乗り物が悪い人間と戦うお話なんだ」
「へぇ!面白そうだな!」
兄さんはそう言って新しい本を借りた。
きっとこれもあっという間に読み切ってしまうのだろう。
六月十五日
兄さんは貸した本を二冊目も三冊目もあっという間に読んでしまう。
僕は次の本を用意しなければならない。
それでも四冊目は少しペースが落ちたみたいだ。
友達を遊びに行ったりしていたみたい。
いいな、兄さんは。
自由を絵に描いたような人だ。
何にも縛られず、何のプレッシャーも持たない。
少しだけ羨ましい。
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